製作風景」カテゴリーアーカイブ

もったいないとブックカバー

床革でつくったブックカバー。

キチジツの看板商品「Paka-pen」を作る際、同じ大きさの漉き床がたくさんでます。
Paka-penにはミネルバリスシオというイタリア産の革をつかっているのですが、これが床面まで美しく丁寧に作られた革なのです。
微妙な色むらと光沢感があり銀面とはまた違った魅力をもっています。
そのまま捨ててしまうには忍びなく、ついついストックしてしまいます。

ある程度たまってくると、その床革を接ぎ合せてブックカバーをつくります。

適度な厚みで床革ならではのしなやかさと手触り。
軽くて滑りにくく、ブックカバーにはばっちりです。

工房には他にも「ついもったいなくて」や「なんかいい」で取っておいたものが、素材やジャンルごとに分類されてたくさん保管されています。
革や金属の端材はもちろん、骨董市で集めた取っ手、分解した機械の部品、ネジ、いい紙 etc.etc…
古いものは小学校時代から蒐集してきたいろいろな「いいもの」です。
あたらしく必要な工具があるときも、大抵あるものを組み合わせて作り出せるほどです。

近頃、集積されたたくさんのものが新しい結びつきを生み出し、ひとつひとつの知識が膨大に結びついてひとつの体系ができるように、あたらしい意味を持ち始めた感触があります。
その集積のドリップが、キチジツのものづくりなのだと思います。

そんな言い訳をしつつ、今日もまた「いいもの」を蓄積していきます。

 

ひと休み

ある日の夕食後、リビングの隣の作業場にさっと仕事に戻ったおとうちゃんは
ワックスを削り、せっせとオーダーの指輪の原型作り。
革以外のお仕事もこなす。

私と息子はお先にお風呂へ。

お風呂から上がって作業場を覗くと、指輪じゃないものがそっと置いてありました。

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近付いてみると・・・

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軽トラ!

どうやら息子に「お風呂に入っている間に車作っといたるわ!」と約束をしていたそうな。

ちゃんとワイパーもあります。

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お仕事以外のものづくりで、精密な作業の合間の息抜きをしていたのでした。

 

 

今週末は 灯しびとの集い です。

 

数日後に迫るイベントに向けて、あれこれ製作中です。

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キチジツのペンケースやメガネケースで採用している、ドクターバッグのような、あのパカッと開く口を作るのに欠かせないのがこの口金。

アルミ棒を一本一本、切って、穴をあけて、革を傷つけないよう面取りをしてゆきます。

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出番待ちのパーツたち。

裁断したパーツの断面は切りっぱなしではなく、エッジを落として丸みをつけます。

革の裏面や断面には仕上げ剤を塗りこみ毛羽立ちを抑える処理をし、せっせと布で磨いていきます。
磨かれた革は濃い色となり、艶が生まれ良い表情に

ベルトパーツの場合はさらに耐久性を求めて、断面に蜜蝋を溶かしこみ、なじませてあります。

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今回新たにつくった新色のピンクをちらり。

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こちらは制作中の新作の一部。

どことなくアンティークっぽい佇まいの、革製リングケースです。

 

当日は他にも新作が登場予定。

ぜひお立ち寄りくださいませ。

 

灯しびとの集い

日時:2015年11月14日(土)・15日(日) 10:00~16:00
場所:大仙公園 催し会場 (大阪府堺市)
入場料:無料

>>「灯しびとの集い」のホームページはこちら

工房改装中・・・

 

只今、工房及び隣の部屋を改装中です。

もともとPタイルだった床に断熱材を敷き、杉板でフローリング張り。
フローリングの表面には、蜜蝋と荏油を混ぜてつくった「蜜蝋ワックス」を、ひたすらぬりぬり。

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蜜蝋はミツバチの巣の材料。荏油は荏胡麻の種子から採れる油。

天然の材料で仕上げたので、床に寝転んでみても気持ちがいいです。
さらさらつるつるの肌触り。

このワックスが手に付くと、シソのようなハチミツのような、あとなんだか少し香ばしい。そんな香りがします。
(仕事の合間に飲んだシソジュースの香りと荏油の香りがよく似ていてハッ!としました。同じシソ科。)

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壁には漆喰を。

身長よりちょっと高い位置を見上げながらの作業は、首と腕にキます。

混水量で塗りやすさがぜんっぜん違うのですが、初めは水量の調節がわからず、固過ぎたり柔らか過ぎたり・・・

「今回のはさっきより塗りやすい!」とか話しつつ、いい感じのところを探りながらの作業。

 

初めての作業を、たのしみながら勉強しながら。

だんだん使い勝手の良い明るい部屋になってきました。

 

 

キチジツのしごと

今日は制作風景をご紹介。

キチジツでは、使用する金具にもこだわって、
仕上げの加工をひとつひとつ自分たちの手で施しています。

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こちらは真鍮製ギボシ。

写真右側が加工前のものです。

土台の角を落として全体をつや消し仕上げにすると、写真左のようなやわらかい雰囲気の金具に。

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こちらはペンケースやメガネケースの口金を留める真鍮製金具。

写真右側が加工前のもの。

このままで使うと、金具の 真っ平らで角張った感じ が、ぷっくりと丸みを帯びた革の雰囲気に合わないなあ
・・・ということで、角を削り落とし、丸くかたちを整えてからつや消しで仕上げると左のような金具に。

たとえばどれくらい違うかというと

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写真上が角ありの金具。 写真下がオリジナルの仕上げ後のもの。

やっぱり金具も、まあるいフォルムのほうがしっくりきます。

 

小さな金具ですが、こんなところにもこだわりを。

真鍮はだんだんとくすんだような落ち着いた濃い色に変わってゆくのも魅力の一つ。
革の経年変化と共に、真鍮の持ち味である 深みのある色に変わってゆくようすもお楽しみください。